年中組 美術指導
11月 「しめじ」の観察画
こんにちは!
年中の絵画造形正課指導講師の三石つねおです!
毎日、日が短くなるのが実感できる今日この頃ですね。
晩秋になり、空気が澄んできて夕方から夜にかけての夕焼けの空の色の移りゆく様子がとても綺麗で時間を忘れてじっと見入ってしまいます。
今回は「しめじ」の観察画という絵画制作を行いました。
内容としては、「モノ」を見て(観て)描く。
観察画は「もの」の本質を深く理解し見抜くことの大切さを感じるものです。
これは大人でもむずかしい。
なぜなら、人は「自分の都合の良いように、物事を受け止める」脳の性質が影響してしまっています。
デッサンや観察画は、主観でなく、相手、モノの立場になった捉え方を考えること観察画の行き着く先のゴールだと思います。
ただ、そのようなゴールは年中の年齢にはとてもハードルが高いので今回子どもたちはまずは「観る」ことってどんなこと「五感で感じる」全身で「もの」と対面することから観察画にチャレンジしました。
まだ、年中の学年の年齢にとっては、観察画はとても難しい課題です。
実は幼児期の子どもたちは「ものを見て描いていない」のです。
イギリスの小児科医でもあるローエンフェルト(1890-1973)は弱視(ほとんど見えていない)の児童と、普通児の子どもたちに描画と粘土で「形」を描かせ、作らせた結果、どちらの児童も同じような絵や粘土の形を作ったのです。
この時期の子供は「目でものを見て描いていない、描いた形や絵は子どもの内発的なものであり、肉体的な感覚であること」を発見しました。
内発的なものというのは感覚、感情、情緒面が大きく関わっているものです。
そうことを踏まえて、今回観察画にチャレンジをしてもらうために
まずは「観察画」ということを「楽しく」経験してもらうことを大事にしました。
また、今回のアプローチとして子どもたちには内発的な形を出してもらうために、まずはしめじについての「日常の思い出、経験したこと」を話してもらいながら「しめじ」を五感で感じる時間を設けてから実際描いてもらいました。
「食べたことある?」
「どんなお料理で食べるのが好き?」
「どんな匂いがする?」
「どんな手触り?ツルツル?ベタベタ?ざらざら?」
「触ったら冷たかった?」
「重かった?」
「しめじの長さはみんなの指と大きさはどのくらい違うの?」
子どもたちは 大人のようにものをそっくりに描き写すことはとても難しいものです。
「ここ、違うじゃないの、ちゃんと見てる?」
というような指導は今の時期の子供たちの指導には全くあっていません。
子どもたちが見て、感じたことを絵で描いてくれることがまずは観察画のスタートです。
観察画は年長になってからも、小学生の図工でも描く時があると思います。
初めての観察画の経験が後々子どもたちに大きく影響を与えてしまうので、今回の指導はとても緊張しました。
「観察画」って難しくもないし、意外と簡単で、面白い!こんなお絵描きもいいね!ということを大事に指導をしました。
お料理にしめじを出される際に、ぜひお子さんにしめじの観察画についてたくさんお話し伺ってみてくださいね。
また、制作中に見かけたシーンで、面白いな〜と思ったのが時折、子どもたちの中でしめじに「顔」を描いている子を見かけました。
めっちゃかわいいんですよね〜。
でも観察画なのに「顔描いてもいいの?」と思割れるかもしれませんので、そのことに触れてお話しをします。
子どもたちの表現には、
・視覚型タイプ
・触覚型タイプ
・その中間
の3つのタイプに分かれると言われています。
成長してくるとだんだんとわかれてきます。
視覚型タイプは物事を見たものに忠実に描くタイプです。
触覚型タイプは、自分の感情を優先して「感じたこと」が絵で現れるタイプ
お花や、太陽に「お顔」を描く(アニミズム)
お芋掘りの時、お芋が自分よりも大きく描いたり、芋を持っている手が体ぐらい大きく描いたりする(拡大表現)
バスの絵を描いたときにバスの中の座っている絵を描く(レントゲン描写)
街を描いたときに画用紙を回しながら描いて天地がそれぞれにある(展開描写)など触覚型タイプは、自分の感じた感情を優先して表現します。
今回しめじにお顔がついている生徒さんは、しめじに感情移入して、「今日のお絵描きめっちゃ楽しい!自分も楽しいからしめじちゃんも楽しいと思っているはず、よし!にっこり顔を描いてあげよう」という優しい気持ちから描いているのです。それだけ気持ちが「のって」制作に向き合ってくれた証でもあります。
(小学生低学年〜中学年ぐらいまで見かけます。)
この視覚型タイプ、触覚型タイプですが、どちらが優れているかどうかは関係ありません。
表現に優劣はありません。表現はその子のそのものです。
うまい、へた という言葉もいりません。 子どもたちの描いた絵はどの絵も素晴らしいものです。
自分のお子さんが「どちらかのタイプかな」、とわかってあげることで作品をご覧に成られる際に、その子の全てを受け止めて、素敵でポジティブな言葉をかけてあげられることにつながります。
本当に子どもたちの絵って宝物ですね。
一枚一枚にその子の気持ち物語が詰め込まれています。
だから幼児期の絵というのはどの絵も素晴らしく、心が感動してしまうのだと思います。
次回は1月となります。
1月は「粘土公園」をおこないます。
子どもたちの粘土造形の楽しみ方を広げるアプローチをしたいと思っています。
また、子供にとっても、大人にとっても粘土って心にとてもいい効果がたくさんあるんです。
そのお話は長くなってしまうので、次回の指導の後にまた書かせていただければと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
三ツ池幼稚園美術教室
三石恒夫(みついしつねお)
美術教室サイトhttps://www.docodemo-art.com/member/class/cid171/
こんにちは!
年中の絵画造形正課指導講師の三石つねおです!
毎日、日が短くなるのが実感できる今日この頃ですね。
晩秋になり、空気が澄んできて夕方から夜にかけての夕焼けの空の色の移りゆく様子がとても綺麗で時間を忘れてじっと見入ってしまいます。
今回は「しめじ」の観察画という絵画制作を行いました。
内容としては、「モノ」を見て(観て)描く。
観察画は「もの」の本質を深く理解し見抜くことの大切さを感じるものです。
これは大人でもむずかしい。
なぜなら、人は「自分の都合の良いように、物事を受け止める」脳の性質が影響してしまっています。
デッサンや観察画は、主観でなく、相手、モノの立場になった捉え方を考えること観察画の行き着く先のゴールだと思います。
ただ、そのようなゴールは年中の年齢にはとてもハードルが高いので今回子どもたちはまずは「観る」ことってどんなこと「五感で感じる」全身で「もの」と対面することから観察画にチャレンジしました。
まだ、年中の学年の年齢にとっては、観察画はとても難しい課題です。
実は幼児期の子どもたちは「ものを見て描いていない」のです。
イギリスの小児科医でもあるローエンフェルト(1890-1973)は弱視(ほとんど見えていない)の児童と、普通児の子どもたちに描画と粘土で「形」を描かせ、作らせた結果、どちらの児童も同じような絵や粘土の形を作ったのです。
この時期の子供は「目でものを見て描いていない、描いた形や絵は子どもの内発的なものであり、肉体的な感覚であること」を発見しました。
内発的なものというのは感覚、感情、情緒面が大きく関わっているものです。
そうことを踏まえて、今回観察画にチャレンジをしてもらうために
まずは「観察画」ということを「楽しく」経験してもらうことを大事にしました。
また、今回のアプローチとして子どもたちには内発的な形を出してもらうために、まずはしめじについての「日常の思い出、経験したこと」を話してもらいながら「しめじ」を五感で感じる時間を設けてから実際描いてもらいました。
「食べたことある?」
「どんなお料理で食べるのが好き?」
「どんな匂いがする?」
「どんな手触り?ツルツル?ベタベタ?ざらざら?」
「触ったら冷たかった?」
「重かった?」
「しめじの長さはみんなの指と大きさはどのくらい違うの?」
子どもたちは 大人のようにものをそっくりに描き写すことはとても難しいものです。
「ここ、違うじゃないの、ちゃんと見てる?」
というような指導は今の時期の子供たちの指導には全くあっていません。
子どもたちが見て、感じたことを絵で描いてくれることがまずは観察画のスタートです。
観察画は年長になってからも、小学生の図工でも描く時があると思います。
初めての観察画の経験が後々子どもたちに大きく影響を与えてしまうので、今回の指導はとても緊張しました。
「観察画」って難しくもないし、意外と簡単で、面白い!こんなお絵描きもいいね!ということを大事に指導をしました。
お料理にしめじを出される際に、ぜひお子さんにしめじの観察画についてたくさんお話し伺ってみてくださいね。
また、制作中に見かけたシーンで、面白いな〜と思ったのが時折、子どもたちの中でしめじに「顔」を描いている子を見かけました。
めっちゃかわいいんですよね〜。
でも観察画なのに「顔描いてもいいの?」と思割れるかもしれませんので、そのことに触れてお話しをします。
子どもたちの表現には、
・視覚型タイプ
・触覚型タイプ
・その中間
の3つのタイプに分かれると言われています。
成長してくるとだんだんとわかれてきます。
視覚型タイプは物事を見たものに忠実に描くタイプです。
触覚型タイプは、自分の感情を優先して「感じたこと」が絵で現れるタイプ
お花や、太陽に「お顔」を描く(アニミズム)
お芋掘りの時、お芋が自分よりも大きく描いたり、芋を持っている手が体ぐらい大きく描いたりする(拡大表現)
バスの絵を描いたときにバスの中の座っている絵を描く(レントゲン描写)
街を描いたときに画用紙を回しながら描いて天地がそれぞれにある(展開描写)など触覚型タイプは、自分の感じた感情を優先して表現します。
今回しめじにお顔がついている生徒さんは、しめじに感情移入して、「今日のお絵描きめっちゃ楽しい!自分も楽しいからしめじちゃんも楽しいと思っているはず、よし!にっこり顔を描いてあげよう」という優しい気持ちから描いているのです。それだけ気持ちが「のって」制作に向き合ってくれた証でもあります。
(小学生低学年〜中学年ぐらいまで見かけます。)
この視覚型タイプ、触覚型タイプですが、どちらが優れているかどうかは関係ありません。
表現に優劣はありません。表現はその子のそのものです。
うまい、へた という言葉もいりません。 子どもたちの描いた絵はどの絵も素晴らしいものです。
自分のお子さんが「どちらかのタイプかな」、とわかってあげることで作品をご覧に成られる際に、その子の全てを受け止めて、素敵でポジティブな言葉をかけてあげられることにつながります。
本当に子どもたちの絵って宝物ですね。
一枚一枚にその子の気持ち物語が詰め込まれています。
だから幼児期の絵というのはどの絵も素晴らしく、心が感動してしまうのだと思います。
次回は1月となります。
1月は「粘土公園」をおこないます。
子どもたちの粘土造形の楽しみ方を広げるアプローチをしたいと思っています。
また、子供にとっても、大人にとっても粘土って心にとてもいい効果がたくさんあるんです。
そのお話は長くなってしまうので、次回の指導の後にまた書かせていただければと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
三ツ池幼稚園美術教室
三石恒夫(みついしつねお)
美術教室サイトhttps://www.docodemo-art.com/member/class/cid171/